世界の今が見える「World特派員リポート」です。きょうは大統領選が近づくアメリカ・ロサンゼルスから。AI=人工知能を使った「ディープフェイク」という技術が悪用される脅威が高まっています。ディープフェイクとは、どんなものなんでしょうか?ロサンゼルス支局・尾関記者の報告です。 お伝えしている私自身も見破る自信がないほど、“かなり精巧なニセモノ”と言えるかと思います。大統領選が近づき、ロサンゼルスの期日前投票所にも多くの人が訪れているんですが、いま懸念されているのが、このディープフェイクが世論を操作しかねないという問題です。まずは、こちらをご覧下さい。 「6か月ぶりの記者会見で、話すことがたくさんある。アメリカ国民に仕事を取り戻す」 この映像、トランプ大統領・・・ではなく、ディープフェイクと呼ばれる、AIが作り出したニセモノなんです。顔の動きに不自然なところもなく、まるで本人が話しているかのように見えます。 もともと映画などで活用するために開発された技術ですが、どうやって生み出されるのか、体験させてもらいました。顔の青い部分は小さな「点」の集まりで、それぞれが私の顔の動きを追跡していきます。これに、AIに学習させておいた有名人のデータを組み合わせると、この通り。単純に顔が入れ替わっているのではなく、私の口や眉の動き、顔の向きに合わせてピッタリ連動して動きます。 最初に紹介したディープフェイクは、同じ要領でモノマネ芸人の映像にトランプ氏本人のデータを組み合わせたサンプルだったんですが、この技術を使えば、言ってもいないことをでっちあげる動画などを簡単に作れてしまうのが現実で、これが世論を操作しかねないという問題になっているんです。 Q.物まねをされる方のお顔が似ていれば似ているほど、見破るのもとても難しいと思うのですが、何か対策はとられているのですか? ディープフェイクを見破る技術として活用されているのもまたAI=人工知能です。この会社が開発した「見破る技術」は、その人の表情や瞬きなどのクセをAIに学習させ、疑わしい動画と比較することでニセモノかどうかを判別します。見破る精度は9割以上ということなんですが、見破る以前にSNSなどで拡散してしまうという、また別の懸念もあります。 「選挙が近づく中、2人の大統領候補までもが直接リツイートをしているような状況で、事実を検証する時間はほとんどありません」(ピンスクリーン社 ハオ・リーCEO) 大統領選まであと20日。ディープフェイクなど偽の情報の拡散を防ごうと、ツイッターがリツイート機能を制限する対策も始まりますが、警戒は選挙直前まで続きそうです。 (あさチャン! 2020年10月15日放送) ▼TBS NEWS 公式サイト https://news.tbs.co.jp/index.html ▼TBS NEWS 公式SNS ...