出生率が去年、世界最低となった韓国。このままでは地域が消滅してしまうと危機感を募らせた自治体が、さまざまな対策に乗り出しています。
韓国の合計特殊出生率=ひとりの女性が生涯に産む子どもの数は、去年、0.84と世界最低となりました。急激な少子化や人口減少が懸念されますが、激しい受験戦争を勝ち抜くために「高額な教育費」が必要なうえ、「就職難」や「住宅価格の高騰」もあり、若者たちは子育ては厳しいと訴えます。
ソウル市民
「経済的な余裕が少しでもなければ、産むのは大変じゃないですか」
「住宅価格があまりにも急に上昇しているので、それが一番負担になります」
こうした状況を打開し、出生率の低下に歯止めをかけようと、自治体はあの手この手で対策に取り組んでいます。
記者
「あわせて600戸の住宅。すべて少子化対策のためにつくられています」
中部の忠清南(チュンチョンナム)道が力を入れているのは「家賃の補助」の整備です。
忠清南道 都市住宅課 キム・テヨン主務官
「新婚夫婦が家族計画の際に最も重要と考えていることが住宅の購入です」
およそ100平方メートルのこの部屋の家賃、子ども1人が生まれると半額、2人目が生まれれば無料になります。
家賃補助を受けている親
「子どもたちに良いものを食べさせて、塾に通わせ、遊ばせることができるようになりました」
さらに、出生率が韓国で最高の2.46と注目されているのが、南西部の霊光(ヨングァン)郡です。5人姉妹の母親、チャン・ミンジさんは、妊娠中から交通費の補助などの支援を受けてきました。
5人姉妹の母親 チャン・ミンジさん
「粉ミルク代もくれるし、タクシー代も出て、とても助かっています」
出産祝い金は韓国最高額だということで、人数に応じて増額されます。
5人姉妹の母親 チャン・ミンジさん
「娘だけですから。息子が欲しいです」
もし6人目が生まれると、3500万ウォン=およそ330万円が支給されます。霊光郡の人口は、この50年で3分の1に減少。「消滅の危機」が高まったことから、不妊治療から出産・子育て・就職まで、幅広い支援を行ってきました。
霊光郡 キム・ジョムギ人口雇用政策室長
「子どもを産んでも、経済的な負担を感じず育てることができます」
充実した支援を支えるのは、6基の原子力発電所から発電量に応じて入ってくる税収。しかし、数年後に設計寿命を迎える原発もあり、この先も続けられるかは不透明です。
コロナ禍で結婚するカップルが減り、今年はさらに出生率が低下する見通しの韓国。安心して子育てできる環境の整備へ模索が続いています。(06日17:06)
#韓国 #出生率 #子育て #子供 #少子化対策
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